映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

映画 DVD

パッチギ

2005年公開の井筒和幸監督作品「パッチギ」を観た。 話題になっていた公開当時から、いつか観ようと思っていたが、もう17年も経っていたことに驚く。 舞台は1968年の日本で、主人公は高校生。この映画を観て思い出したことがある。 いまから30年以上前のこと…

望み

2020年公開の堤幸彦監督作品「望み」を観た。 犯罪がストーリーの軸になっている映画はたくさんあり、これまでにいくつか観てきたが、大抵の場合、犯人は誰なのか、犯行はどう展開したか、という点に興味が集中するように思う。或いは、犯罪の意味や動機につ…

エイプリルフールズ

2015年4月1日公開の映画「エイプリルフールズ」を観た。 観終わったとき、やけに充実感があり、登場人物たちのこれからを心から応援したくなるような清々しい気持ちだった。 タイトルから推測して、コメディかなと勝手に思っていたが、総じて人間ドラマだっ…

82年生まれ キム・ジヨン (チョ・ナムジュ)

チョ・ナムジュ著、斎藤真理子訳「82年生まれ キム・ジヨン」を読んだ。 読み進めるうちに、あれ、これってノンフィクションだっけ?と一瞬混乱し、解説を見て小説であることを確認してしまった。 最初から最後まで、共感し通しで読んでいた気がする。この本…

さいはてにて ~やさしい香りと待ちながら~

2015年公開、永作博美主演の映画「さいはてにて」をみた。 主人公は行方不明の父親の帰りを待つために、一人小さな漁港の小屋に移り住む。そこで近所に暮らす母子家庭の子どもたちと関わっていくのだが、子どもたちの母親は仕事のためとはいえ不在になりがち…

ボクたちの交換日記

監督・脚本、内村光良の2013年公開の邦画「ボクたちの交換日記」を観た。原作は、放送作家・鈴木おさむの小説「芸人交換日記 ~イエローハーツの物語~」 コンビのお笑い芸人を目指していた高校生の主人公ふたりが、いつしかそれぞれの道で、それぞれの生活を…

百万円と苦虫女

2008年公開で蒼井優主演の「百万円と苦虫女」を観た。 DVDのジャケット裏にある粗筋を読み、アルバイトで百万円を貯めて家を出た女の子が、貯金が百万円になると次の街に引っ越す、ということを繰り返す話なのだなと理解し、それが明るく楽しく軽快な旅であ…

マチネの終わりに (平野啓一郎)

平野啓一郎著「マチネの終わりに」を読んだ。 この作品は2015年から2016年まで毎日新聞に連載されたもので、昨年、映画化されている。 序文で、主人公の二人に実在のモデルがいることが明かされ、その上で著者は「他人の恋愛ほど退屈なものはないが、彼らの…

コーヒーが冷めないうちに

2018年公開の邦画「コーヒーが冷めないうちに」を観た。 以前、書店で「4回泣ける」と書かれたポップと共に平積みされていたし、テレビスポットも目にしていて、気になっている作品だった。 過去に戻るという状況を題材にした小説や映画はたくさんあるけれど…

ゴールデンスランバー (伊坂幸太郎)

伊坂幸太郎作、ゴールデンスランバーを読んだ。 初出は2007年で、2008年の本屋大賞と第21回山本周五郎賞を受賞している、ということを今回文庫を手にとって初めて知った。 これまで、この作家の作品は映画になったものを観るばかりで、振り返ってみると小説…

三度目の殺人

2017年公開の是枝裕和監督作品、「三度目の殺人」を観た。 タイトルに「殺人」とあるように、殺人事件を中心とした話で、是枝監督の他の作品とは少し毛色が違うと言えば言えそうにも思う。 けれどある意味では「そして父になる」や「海よりもまだ深く」に描…

運動靴と赤い金魚

1997年のイラン映画「運動靴と赤い金魚」を観た。 ツタヤでどれを観ようかとDVDをランダムに手に取っては棚に戻していたとき、ふと見ると、ジャケットに「隠れた名作」とあり、気になって借りてきた。イラン映画は初めてで、その意味での好奇心もあったよう…

オー!ファーザー

2014年公開の映画「オー!ファーザー」を観た。原作は伊坂幸太郎、監督、藤井道人、主演、岡田将生。 DVDのジャケットを読んで、父親が4人いる高校生が主人公と知り、面白そうだなと思って借りてきた。 普段はサスペンスやミステリーより、家族や人生を描い…

ダージリン急行

2008年に日本公開のアメリカ映画「ダージリン急行」を観た。 ツタヤで手に取ったとき、DVDのジャケットに、~三兄弟がインドを旅する~ とあったので、一瞬インド映画かと思ったけれど、インドが舞台のアメリカ映画だった。 疎遠になっていた三兄弟が、長男の…

阪急電車

2011年公開の三宅喜重監督作品「阪急電車」を観た。 冒頭に主人公のモノローグで「人は皆、それぞれの思いを抱えて生きている」というようなことが語られる。その言葉には聞き終わらないうちから、二度三度と頷いた。誰にだって不安や不満や悩み、そういうも…

友だちのパパが好き

2015年公開の山内ケンジ監督作品「友だちのパパが好き」を観た。 様々な感じ方ができそうな、様々な側面を持つた映画だった。 正直さ、素直さと捉えるか、自分勝手と捉えるか、非常識と見るか自由と見るか、純愛なのか狂気なのか、どれもが紙一重、というよ…

リトル ミス サンシャイン

2006年のアメリカ映画「リトル ミス サンシャイン」を観た。 10才の少しポッチャリした女の子が、家族の応援のもと、美少女コンテストに優勝を目指して出場するという話で、コンテスト当日、家族みんなで会場に向かうのだが、その道中に様々なことが家族それ…

東京タワー / オカンとボクと、時々オトン (リリー・フランキー)

2005年初版のリリー・フランキー作「東京タワー オカンとボクと、時々オトン」を読んだ。 筆者が自分の体験を振り返って書いたという小説で、具体的な出来事を通して、お母さんへの想いはもちろん、リリーさんの中の広大な宇宙が見事に描かれていたように思…

探偵はBARにいる

大泉洋主演の「探偵はBARにいる」を観た。 以前はどんな物語であれ、人が殴り合うようなシーンはあまり好きではなかったのに、この映画の中の探偵とヤクザのやり合う場面には、どこか爽快さすら感じたのは、松田龍平演じる主人公の相棒が、気持ちいいほど強…

おと な  り

岡田準一と麻生久美子が共演した 「おと な り」を観た。 映像が美しい映画だった。桜の花びらに投写しているかのような、儚げな美しさがあって、他の映画とは映像の質感が違っていた。作品全体に、なんだか童話のような雰囲気があったように思う。 ストーリ…

百円の恋

安藤サクラと新井浩文が共演した2014年公開の映画「百円の恋」を観た。 タイトルをみると、恋愛ものに思えるけれど、ラブストーリーという枠には収まらない要素が、映画全体に満ちあふれていた。 恋愛も家族愛も夢も仕事も無気力も怠惰も、どれか一つが人生…

ギルバートグレイプ

レオナルド・ディカプリオとジョニー・デップが共演した1993年のアメリカ映画「ギルバートグレイプ」を観た。 タイトルに覚えがあり、昔、と言えるくらい以前に誰かが見るべき映画だと言っていたのを思い出してかりてきた。特に配役情報など気にせず見始めた…

ナミヤ雑貨店の奇蹟

2017年公開の映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟 」を観た。 この作品では手紙が大切なモチーフになっていて、32年という時空を越えて手紙のやり取りが行われる。 そして、そのやり取りには2つのパターンがあり、過去から来た悩み相談の手紙に対して、その32年後を生…

はじまりへの旅

2016年のアメリカ映画で、日本では2017年公開の「はじまりへの旅」(監督、マット・ロス 主演、ヴィゴ・モーテンセン)を観た。 ツタヤで見つけたとき「普通ってなんだろう」というコピーとカラフルなジャケット(登場人物たちのカラフルな服装)になんとなく引…

空飛ぶタイヤ (池井戸潤)

同じ作家ばかり読んでいないで、たまには毛色の違ったものを、と考えながら図書館の中を歩いていたらこの本が目にとまり、これは大ヒットしたエンターテイメント小説のはず、と思って手に取った。 文庫本としては厚みがあり、しかも上・下巻の二冊に分かれて…

たたら侍

2017年公開で錦織良成監督、脚本の「たたら侍」を借りて観た。 全編を通して映像がとても美しく、自然の持つ広大で繊細な霊気、とでも言いたくなるようなものが静かに伝わってきた。そのせいで人間の浅はかさや生きるということのはかなさを感じさせられた気…

her / 世界でひとつの彼女

2013年公開のアメリカ映画「her / 世界でひとつの彼女」を観た。 妻から離婚を迫られている主人公の男性がコンピューターのオペレーティングシステムに、つまりAIに本気で恋をするという物語で、面白かった。考えさせられるという意味で面白かった。 たとえ…

ハート・オブ・ウーマン

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 民放テレビで深夜に放送していた「ハート・オブ・ウーマン」を観た。久しぶりに洋画を観た気がする。テンポ良く物語が展開し、楽しめた。 主人公の男性が女性の考えを読めるようになってしまい、最初は…

八日目の蝉

井上真央と永作博美のダブル主演、と言っていいのだろうか、「八日目の蝉」を観た。 観ている間中、そして見終わってからもしばらくは、いろいろな思いが胸の中で交錯するような映画だった。 主人公は犯罪者になってしまったけれど、決して悪人ではないでは…

ミックス

新垣結衣と瑛太が共演した「ミックス」を観た。爽快な映画だった。 ストーリー展開としてはオーソドックスで、先が読めてしまうような感じもあったが、弱かった者が努力によって強さを手に入れたり、寂れていた場所が活気を取り戻したりする姿は、見ている側…