重松清著の「エイジ」を読んだ。
中学2年生の男子が主人公の物語で、「人が子どもから大人へと成長する過程を描いている」のかもしれないけれど、読んでいる間は、そんなふうにはまるで感じていなかった。読後に内容を振り返れば、そういうことになるけれど、小説の中にいるときはそこまで客観的にはなれない。
何か出来事に出会ったときの心の揺れや、その出来事を通しての自分自身の変化というものは、中学生2年生でなくてもきっとあるはずで、だからだろうか、自分の年齢とはかけ離れた主人公の日常を、同級生の一人になったような気持ちで、最後まで読んだ。
人と人が関わるということや、自分の心とどう向き合って、或いはそれにどう対処していけばいいのかを考えるためのヒントが、重松作品にはいつも溢れている気がする。いや、ヒントというのは少し違うかもしれないけれど。
この本を読んで「どんな自分も自分だし、その自分を受け入れてもらいたいという欲求は、当たり前のものなのだ」と思えた。
誰もが、誰かには全面的に受け入れてもらいたいのだろう。