映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

追憶

 2017年公開の降旗康男監督作品「追憶」を観た。
 孤児、暴力、殺人、隠蔽、別離。最初からずっと、うしろめたさに覆われたような空気が漂っていたけれど、人が人を思う気持ちが物語の奥底に流れていた。そしてその気持ちが明るく幸せな時間を生み出すわけではなく、むしろ寂しさや悲しみを掘り起こす場合が描かれていた。
 殺人事件の犯人や動機より、もっと重大な(というと殺された人に申し訳ないのだが)パンドラの箱のような秘密が最後に明らかになり、そんなまさかと思いながらも、救われたような、でもやっぱりやりきれないような複雑な気持ちにさせられた。
途中「運命なんだ」という言葉がでてきたけれど、いつどこで聞いた「運命」よりも、重たく深い感触が残った。

追憶 DVD 通常版

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