2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧
藤沢周平の「時雨のあと」を読んだ。 以前、保坂和志に傾倒して彼の小説ばかり読んでいた頃に、保坂氏の「藤沢周平を読め」という言葉をどこかで見たか聞いたかしたことがあり、それ以来ずっと気になっている作家だった。とはいえ今回手に取ってみて初めて、…
2011年公開の三宅喜重監督作品「阪急電車」を観た。 冒頭に主人公のモノローグで「人は皆、それぞれの思いを抱えて生きている」というようなことが語られる。その言葉には聞き終わらないうちから、二度三度と頷いた。誰にだって不安や不満や悩み、そういうも…
辻村深月の「ツナグ」を読んだ。 この作家の直木賞受賞作「鍵のない夢を見る」を数年前に読んでいて、物語の意外な展開に引き込まれながら、存分に楽しんだ記憶がある。 「ツナグ」も、意外な展開というか周到な真実というか、読み進めば進むほど読者を引き…
1997年の直木賞受賞作品、篠田節子の「女たちのジハード」を読んだ。 読み始めてすぐ、目の前に現れたのは、90年代のバブルが弾けた頃のOLたち。OLという言葉だけで、すでに時代が透けて見えるようだ。そうか、20年も前の話なんだな、と感じたときは、ほんの…