映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

墨東綺譚 (永井荷風)

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 明治から大正、昭和と活躍した名のある作家なので、一度読んでみたいと思って借りてきたのたが、文体、というのだろうか、言葉遣いというか言い回しというか、最後の方は漢文の引用もあって、私にとって…

八日目の蝉

井上真央と永作博美のダブル主演、と言っていいのだろうか、「八日目の蝉」を観た。 観ている間中、そして見終わってからもしばらくは、いろいろな思いが胸の中で交錯するような映画だった。 主人公は犯罪者になってしまったけれど、決して悪人ではないでは…

イトウの恋 (中島京子)

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); なんだか不思議な物語だった。 伊藤亀吉という人の、特別な人生が語られているようでいて、読み終えたときは、誰もがイトウであるような、誰もがイトウの娘であるような、誰もがイトウの娘の娘であり、…

ミックス

新垣結衣と瑛太が共演した「ミックス」を観た。爽快な映画だった。 ストーリー展開としてはオーソドックスで、先が読めてしまうような感じもあったが、弱かった者が努力によって強さを手に入れたり、寂れていた場所が活気を取り戻したりする姿は、見ている側…

家守綺譚 (梨木香歩)

数年前に一度読み、簡単に言うと「最高」と感じた記憶がある。小説なのだろうけれど、おとぎ話のようなファンタジーのような、それでいて現実的な手触りのある不思議な、でも読んでいると妙に落ち着いた、温かい心持ちになる本だ。 この本の中の好きなフレー…

闇金ウシジマくん

ツタヤの「おすすめ」の棚にあるのを見て、以前誰かが「面白いよ」と言っていたのを思い出して借りたのだが、率直な感想としては怖かった。 世の中には、こういった側面があるのだと思うと、ただただ恐ろしい。 生きていく上でお金は絶対に必要だか、それは…

3月のライオン

大友啓史監督、神木隆之助主演の「3月のライオン」を観た。 いい映画だった。2日間に渡り、前編・後編と観た。どちらも2時間以上で長かったけれど、もっと観ていたかった。 孤独を描くことで、人はひとりではないことを伝えているような映画だった。プロ棋…

聖の青春

若くして亡くなったプロ棋士の生涯を描いたノンフィクション小説を映画化した作品だった。 羽生義治と互角に渡りうほどの才能の持ち主で、10代の頃から頭角を表し、メキメキと力をつける彼だが、幼いころから難病を抱えていた上に膀胱癌を発病してしまう。手…

ことり (小川洋子)

ことりとその歌声を愛してやまない兄弟の物語だった。 兄は10歳のときに、弟以外の誰にも理解できない言葉しか話さなくなる。そして、両親が亡くなったあとは、兄が52歳で亡くなるまで兄弟二人きりで暮らすのだが、慎ましく内向的な生活の中で、小鳥の存在だ…

追憶

2017年公開の降旗康男監督作品「追憶」を観た。 孤児、暴力、殺人、隠蔽、別離。最初からずっと、うしろめたさに覆われたような空気が漂っていたけれど、人が人を思う気持ちが物語の奥底に流れていた。そしてその気持ちが明るく幸せな時間を生み出すわけでは…

りんごの花咲くころ (石坂洋次郎)

本棚の片隅にひっそりと収まっていた本を読んでみた。 初版は、昭和50年12月30日 そして、昭和54年9月20日 7版発行、とある。 おそらく30年以上前に購入した文庫本だるう。タイトルに見覚えはなく、自分で買ったのかどうか判然としないが、忘れているだけで…

怒り

2016年公開の李相日監督作品、「怒り」を観た。 後半は、終わりに近づけば近づくほど、誰が犯人なのかばかり気になって、こいつだろう、いややっぱりこっちか、まさかあいつなのか、と犯人探しに翻弄されてしまい、愛する人を信じられるか、とか、愛した人が…