映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

2021-01-01から1年間の記事一覧

82年生まれ キム・ジヨン (チョ・ナムジュ)

チョ・ナムジュ著、斎藤真理子訳「82年生まれ キム・ジヨン」を読んだ。 読み進めるうちに、あれ、これってノンフィクションだっけ?と一瞬混乱し、解説を見て小説であることを確認してしまった。 最初から最後まで、共感し通しで読んでいた気がする。この本…

誰も知らない夜に咲く(桜木紫乃)

桜木紫乃作「誰も知らない夜に咲く」を読んだ。少し前に(数ヶ月前だろうか)ラジオ番組の朗読でこの作家の、たしか「冬ひまわり」という短編を聞いた。(冬ヒマワリ、又は冬向日葵、かもしれない)その物語が心にしみて、以前読んだこの作家の「ホテルローヤ…

旅する練習 (乗代雄介)

乗代雄介著「旅する練習」を読んだ。 風景描写の多い本だった。タイトルに「旅する」とあるように、目的地までの旅の道程を軸としていて、旅の中で目にする景色が次々と描かれていた。 そのことと関係があるかどうかはわからないのだか、私にとってこの本は…

K との再会 (おろかなチホ)

今日はちょっといつもと違う投稿をしてみようと思う。「心淋し川」を読んで、人は皆物語の中を生きているのだと改めて感じたせいか、自分の身に起こったことで、忘れられないことを文章にしてみようと思い立った。とはいえ劇的な出来事でもなんでもないのだ…

心淋し川 (西條奈加)

2020年下半期直木賞受賞作品「心淋し川」を読んだ。 時代小説を読むと、人が人を思う気持ちや人生のままならなさは、いつの時代も変わらずにあって、だからこそ物語が生まれるのだな、と思う。 何の変哲もない暮らしの中で、ある日突然、巻き込まれるように…

星の子 (今村夏子)

今村夏子著の「星の子」を読んだ。 以前、デビュー作の「こちら、あみ子」や、短編集の「あひる」も読んでいて、ひょっとするとこの作家は誰も書こうとしなかったことを、或いは書こうとしても書けなかったことを、書いているのかもしれない、と感じていた。…

さいはてにて ~やさしい香りと待ちながら~

2015年公開、永作博美主演の映画「さいはてにて」をみた。 主人公は行方不明の父親の帰りを待つために、一人小さな漁港の小屋に移り住む。そこで近所に暮らす母子家庭の子どもたちと関わっていくのだが、子どもたちの母親は仕事のためとはいえ不在になりがち…

格闘するものに○ (三浦しをん)

三浦しをんさんのデビュー作「格闘するものに○」を読んだ。 言わずと知れた人気作家である。ご本人がラジオのインタビューで語っているのを聞いたのだが、就職活動の際に出版社を受けたのがデビューの発端だとのこと。筆記試験に含まれていた作文の欄で披露…

ボクたちの交換日記

監督・脚本、内村光良の2013年公開の邦画「ボクたちの交換日記」を観た。原作は、放送作家・鈴木おさむの小説「芸人交換日記 ~イエローハーツの物語~」 コンビのお笑い芸人を目指していた高校生の主人公ふたりが、いつしかそれぞれの道で、それぞれの生活を…

百万円と苦虫女

2008年公開で蒼井優主演の「百万円と苦虫女」を観た。 DVDのジャケット裏にある粗筋を読み、アルバイトで百万円を貯めて家を出た女の子が、貯金が百万円になると次の街に引っ越す、ということを繰り返す話なのだなと理解し、それが明るく楽しく軽快な旅であ…