映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

あやしい彼女

「青春なんて若いヤツにはもったいない」という言葉があったように思うが、若いときには、若さがどんなものかはわからないものだ。
 今日観た映画「あやしい彼女」は、孫のいるおばあちゃんの肉体だけが50 歳も若返り、しばらくの間若者として生きるという内容だった。戦後の貧しい時代に、子どものため、孫のために、人生を捧げてきたおばあちゃんが、若い肉体を手に入れて好きなように生きる、という爽快さがあった。その中で親の子に対する思いや、子の親に対する思いも描かれていて後半は泣けてしまった。親子の情にふれるとすぐ涙が出るのは、私が年をとったせいばかりでなく、私自身が子どもたちから慕われていないのではないかという不安があるからのように思える。そして、慕われたいという欲を持っている自分にがっかりする。慕われても慕われなくても、子どもたちが自分の人生を生きてくれればそれでいいのだから。
この映画のように、もし私が、頭の中はそのままに今の時代に肉体だけ20歳に戻ったら、どんな風に行動するだろう。これまでの反省を元に、今とは違う人生になるよう別の道を選ぶかもしれない。後悔の多い人生だと思ってきた。でも、あのときこうしておけばよかったとか、ああすればよかったとか、いろいろ悔やんでいることをよく考えると、そうする能力があったなら、そうしていたのではないかと思えてくる。結局私の後悔は、自分の能力不足を知らずに自分には出来ないことを高望みした結果に過ぎないのだ。お金や時間があれば、というのも、お金や時間を生み出す能力がなかったせいでもある。そのときの環境を受け入れた自分を許して後悔することをやめた方が、この先幸せな時間を多く持てそうな気がする。後悔すること自体が楽しいならやめる必要はないのかもしれないが、もっと楽しいことが、いくらでもありそうである。

あやしい彼女 [DVD]

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