映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

ツバキ文具店 (小川糸)

この本は、友人が大好きな本だと言って紹介してくれたので、ぜひ読んでみたいと思っていた本てす。世の中の情報に疎い私は、NHKでドラマ化されたことも知らずにいましたが、やはり相当話題になった本のようで、図書館で予約したときはかなりの人数が順番待ちをしている状況でした。
この作家の作品はこれまでに二作ほど読んでいましたが、今回も私にとって読みやすく、共感したり登場人物たちを好ましく思ったりしながら読めました。
主人公の「代筆屋」という仕事に憧れのような気持ちを持ちながら読みましたが、それだけ小説の世界に入り込めたのは、物語を構成するあらゆる要素が、絶妙のバランスて心地よく配置されていたからかもしれません。鎌倉という舞台、そこでの主人公の暮らしぶり、登場人物たちの人柄と主人公との関わり方、主人公の後悔までもが素敵でした。今ふと思ったのですが、小説は作り話なのに「所詮、絵空事だもの」、という冷めた気持ちにさせない作家の力量というのは、私などには想像できない凄まじいものがあるのでしょう。
この本には続編だかスピンオフだか、そんなようなものがあると聞いたので、それも図書館に予約しました。順番が回ってくるのを楽しみに待ちたいと思います。

ツバキ文具店

ツバキ文具店