映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

まゆみのマーチ (重松清)

 この作家の自選短編集・男子編「卒業ホームラン」に続き、自選短編集・女子編「まゆみのマーチ」を読んだ。
 「卒業ホームラン」の読後に述べた通り、重松清作品の温かさや、人の心の、というか人そのもののというか、掘り下げ方にはやはり引き込まれるものがあり、他の著作もぜひ読んでみたいと思った。
 この本を読んで思い出したことがある。それは「子の心、親知らず」ということだ。ずいぶん昔だけれど「親の心子知らず」という言葉を聞いて、子どもの立場にしてみれば「子の心親知らず」と言いたいように思ったのだ。自分が親になってからも、子ども時代にそう感じたことを否定する気にはなれない。
 ただ、個人的には、子どもの心を知ることはできなくても、子どもの存在を丸ごと受けとめることのできる親でいたいと思う。子どもの言うことに耳を傾け、やることや考えていることを、時には理解できなくても、それがあなたなのねと認めて、受け入れたい。どんなときもそうするということが、子どもの味方でいることなのではないかと思う。


まゆみのマーチ: 自選短編集・女子編 (新潮文庫)