映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

エイプリルフールズ

 2015年4月1日公開の映画「エイプリルフールズ」を観た。
 観終わったとき、やけに充実感があり、登場人物たちのこれからを心から応援したくなるような清々しい気持ちだった。
 タイトルから推測して、コメディかなと勝手に思っていたが、総じて人間ドラマだった。
 今思ったが、人間ドラマの要素のないコメディというのは、単なるおふざけになるのだろうか。「お笑い」と呼ばれるコントや漫才はどうだろう。それらの中にも人生の断片やドラマを感じるものももちろんあるし、一見そうとは分からなくても、人間の習性や人生の局面を下敷きにしたものが多いような気がする。教訓を求めてコメディ映画やお笑いを鑑賞するわけではないけれど、笑いながら、楽しみながら、心の奥底で 「人ってこうだよねー」とか、反対に「こんなことってある?」というような点に、実は一層満足させられているのかもしれない。
 「エイプリルフールズ」の登場人物たちは、大嘘をついている者が多かったが、身を守るための鎧のような嘘ばかりだった。現実は映画ほどうまくいかないとしても、嘘から生まれる真実、というものが絵空事でなく実際にも有りそうに感じた。
 そういえば「一番ついてはいけない嘘は自分につく嘘だ」という言葉を聞いたことがある。
 自分に嘘をつかない生き方をするために、誰かに嘘をつかなければならないことも、ひょっとするとあるのかもしれない。