映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

ママたちの下剋上

深沢七郎を読んでみようかと思い、図書館で「深沢」の棚を見ていて目にとまった。
タイトルからして、一体どんな話かと思ったのだが、何か劇的な展開があるわけではなく、小学校受験に執着する母親たちのことを、子どもはまだいない主人公の目を通して書かれていた。そしてこの主人公は、年下の夫の顔色ばかり伺っているような感じで、そのせいでやりがいも誇りもある大切な仕事をやめてしまうのだが、今時こんなに夫主導の夫婦があるのかと疑いたくなり、初版の年月を確認すると2016年だったので驚いた。
私自身、結婚してからは夫の要求に従わないとダメ人間扱いされるように感じてビクビクしながら、ほとんど言いなりになってきたのだが、そんな関係は夫婦としても歪んでいるのではないかと思っていたし、周囲には夫と妻が対等な家庭が多いようにも思っていたけれど、実際は、まだまだ昔の亭主関白のような家庭も珍しくないのだろうか。主人公が夫に気を使って、言いたいことを言えずに感情を押し殺している場面は、もどかしい気持ちだった。
話としては、お受験を題材にしている部分と、妻が仕事と夫との間で板挟みになっている部分が半々だった印象で、どちらかに重きをおいた、もっとドラマティックな場面を読みたかった気もする。

ママたちの下剋上

ママたちの下剋上