映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

おと な  り

「おと な  り」を観た。 
 映像が美しい映画だった。桜の花びらに投写しているかのような、儚げな美しさがあって、他の映画とは映像の質感が違っていた。作品全体に、なんだか童話のような雰囲気があったように思う。
 ストーリー展開としては、ありそうにない偶然が重なり過ぎのような気がしないでもなかったけれど、世界のどこかに、本当にこんな偶然があってほしいと思えるような映画だった。
 主人公の同僚の言葉で、印象に残ったものがあるので書き留めておく。
「いい加減にやめなよ。人のせいにして自分許すの」
 言葉通り意味の、ストレートな表現だけれど、解釈次第で誰にでも当てはまる場面がありそうな、深い言葉の気がした。
 童話のような気配を漂わせながらも、この物語が現代を生きる男女を描いたものとして成立しているのは、主人公と関わる回りの人たちが、こうした言葉を要所要所で投げかけているからかもしれない。


おと・な・り [DVD]