映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

にじいろガーデン (小川糸)

家族の物語であり、人生や恋愛を描いた物語でもあった。
出会いというのは、自分の意志でコントロールできるものではないと思う。友達や恋人なら、誰でもいいわけじゃなく、気の合う相手や好きな人を選んで付き合っているのかもしれないけれど、それにしたって実はものすごく狭い範囲で偶然知り合えた人の中から選んだに過ぎない。こう考えると、この人に出会えて本当に良かったと思える相手がいるなら、それだけで最大級にしあわせなのだと分かる。ならば、そう思える相手がいなくても、特別不幸というわけではないのだが、人がしあわせを、求めるのは自然なことなのだろう。
この物語の登場人物たちは、同性愛という少数派の生き方をしたことで、生活の上では苦労があったけれど、自分たちがしあわせだと知っていた。少数派であることに、負い目や引け目を感じる必要はないのだと心から思う。少数派を「普通じゃない」とするのは、多数派の横暴なのではないだろうか。それにおそららく大抵の人は、少数派の部分をどこかに持っっているものだろうし、そもそも、その性質を持った人が多いか少ないかという数字で、性質そのものの良し悪しが決まるはずなどないのだ。
そうは言っても、多数派を「普通」と考える人が世の中には多いのもまた、事実なのだろう。

にじいろガーデン (集英社文庫)

にじいろガーデン (集英社文庫)