映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

墨東綺譚 (永井荷風)

 




明治から大正、昭和と活躍した名のある作家なので、一度読んでみたいと思って借りてきたのたが、文体、というのだろうか、言葉遣いというか言い回しというか、最後の方は漢文の引用もあって、私にとっては難しかったようだ。それでも前半はその難しさをあまり感じず、いつものようにすらすら読んでいたので、どのあたりから意味がすんなり入ってこなくなったのか、自分でもよくわからない。内容が難しかったとは思わないが、気づいていないだけで実は内容の理解が追いつかなかったのだろうか。
 登場人物のセリフの中に「言文一致」という言葉が出てきたときに、その昔(多分20年くらい前)、森絵都の本を初めて読んで驚いたことを思い出した。その時は小説を読むのがかなり久しぶりだったので、今時の小説は地の文にまでこんなに話し言葉が使われているのかと目をみはった覚えがある。
 小説は、何を書くかと同じくらいに、どう書くかがその作品をその作品にするのだなと改めて感じた。
墨東綺譚 (角川文庫)