映画と本と言葉たち

観た映画や読んだ本についての一人よがりの感想などを、勝手気ままに綴っています。

リトル ミス サンシャイン

リトル・ミス・サンシャイン [DVD]
 2006年のアメリカ映画「リトル ミス サンシャイン」を観た。 
 10才の少しポッチャリした女の子が、家族の応援のもと、美少女コンテストに優勝を目指して出場するという話で、コンテスト当日、家族みんなで会場に向かうのだが、その道中に様々なことが家族それぞれの身の上に起こる。そのどれもが、その事だけを取り上げたら大層深刻て衝撃的で重大な出来事なのに、何はともあれその日はコンテスト会場へ時間までに到着し、出場することが最優先事項となってしまう。小さな女の子が過酷なダイエットや歌や踊りの厳しいレッスンに耐えて、こんなに頑張ってきたのだから、というわけでもないのだ。そこがこの映画のみどころで、ミスコン(美少女コンテスト)に焦点が当たっているようでいて、実は家族それぞれの人生が映し出されており、さらにその一人ひとりを構成要因とする「家族」というものが浮き彫りになる。
 直近に読んだリリー・フランキー著の「東京タワー」も、母親の人生を描いたものであったが、そこには息子の人生も映し出されていた。
家族というものは、そうやってお互いに相手の人生が自分の中に映し出されるような関係に、自然となっていくものなのだろう。だから、実は共存できる相手ではなかった、とか、とてもこの人の人生は引き受けられない、となった時は、家族関係を解消するという道もあるのだろう。とはいえ、血の繋がりは消せるものではないから、解消できる家族関係というのは夫婦の間くらいのものかもしれないけれど。

 この映画の家族たちは皆、本人は大真面目なのに、どこかコミカルさを醸しだしていた。最後はそのコミカルさがいつの間にか温かさに包まれていて、「家族」というものの正体を見せられたような気がした。
 



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